全日本空輸(ANA/NH)の平子裕志社長は11月21日、国内線のWi-Fi機器を使った機内インターネット接続サービスについて、現時点で運航機材の約半数に装着していることを明らかにした。競合の日本航空(JAL/JL、9201)が展開している無料サービスについては、検証段階であると説明した。
ANAは、Wi-Fiサービスを2014年3月から国際線、2016年1月から国内線で始めている。ANAによると、10月1日時点の国内線機材は133機で、このうち66機を無線LANによる機内ネット接続によるWi-Fiサービスに対応する改修を済ませたという。
一方、JALは2012年7月から国際線、2014年7月から国内線でWi-Fiサービスを開始。国内線については、2016年4月から15分間無料のキャンペーンを開始し、今年2月からは無料化に踏み切った。当初は改修対象となる77機がそろったことを記念した期間限定キャンペーンだったが、順次期間を延長し、6月には9月以降も無料にすることを発表している。
JALでは4月以降、決算発表の場で国内線が好調である要因のひとつに、Wi-Fiサービスの無料化を挙げており、顧客獲得に貢献しているとみられる。
Wi-Fiサービスは、両社が異なるシステムを採用。ANAが米パナソニックアビオニクス製、JALが米gogo製のシステムを採用している。
平子社長はAviation Wireの取材に対し、「衛星接続のため、通信容量に限界があり、通信用アンテナの大きさの制約もある。装着率は50%程度だ」と現状を説明した。
「JALさんのように無料化してしまうと、機内から通信できなくなる可能性があるのではと考え、ハード面で耐えられるかを検証している。投資をしっかりして容量を拡大したら相応のサービスにすべきだが、現時点では開始時期やどういう方を対象にするかなどは、公表できる段階ではない」と語った。
関連リンク
ANA Wi-Fi サービスのご案内 [国内線](全日空)
・ANA、ホノルル空港にラウンジ新設 A380投入、片野坂社長「ハワイに合わせた機内」(17年11月21日)
・羽田発着枠の配分、ANAHD片野坂社長「格差是正ではなく素直に1枠でも多く」(17年11月22日)
ANAのWi-Fiサービス
・ANA、国内線で機内ネットサービス 17年度末までに100機(16年1月22日)
・ANA国内線Wi-Fiサービス、一足先に使ってみた(16年1月25日)
・スポーツ生中継に3D航路図 特集・エンタメ充実のANA国際線787-9に乗ってみた(15年5月24日)
・ANA、787-9国際線仕様機が就航 最新エンタメ機器搭載(15年5月5日)
・ANA、787-9国際線仕様を5月就航 リアルタイムでテレビ視聴も(15年4月29日)
・ANAも国際線で無線LANサービス 3月開始(14年2月26日)
JALのWi-Fiサービス
・JALグループ、無料で国内線ネット接続 9月以降も(17年6月20日)
・JAL、国内線ネット接続サービス無料に 全機改修記念、期間限定(17年1月25日)
・JAL「スカイWi-Fi」、一足先に使ってみた(14年7月20日)
・JAL、国内線初の無線LANサービス 7月から新仕様機で(14年1月30日)
・「我々には後がない」 JALが背水の陣で挑む国際線機内ネット接続「JAL SKY WiFi」(12年7月14日)