オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポート、両社が出資し関西空港と伊丹空港を運営する関西エアポートの3社によるコンソーシアム(企業連合)が設立した、神戸空港を運営する新会社「関西エアポート神戸」は9月26日、空港を運営する神戸市と実施契約を締結した。神戸空港は2018年4月1日から、新会社による運営を開始する。
—記事の概要—
・関西エアポート100%出資の新会社
・山谷社長「『1つの空港システム』として発展」
関西エアポート100%出資の新会社
新会社「関西エアポート神戸」は神戸空港を運営する特別目的会社(SPC)で、関西エアポートの100%出資で設立した。設立日は2017年8月10日で、資本金は1億3500万円。社長には関西エアポートの山谷佳之社長、副社長には同社のエマヌエル・ムノント副社長がそれぞれ就く。
関西エアポート神戸は、滑走路の運営と維持・管理の航空系事業と、ターミナルビル運営と維持・管理の非航空系事業を担う。事業期間は2060年3月31日までの42年間で、合意した場合は最長で10年延長し、2070年3月31日までの52年間運営する。
神戸空港の民営化は、市に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で実施。空港用地と施設は、市が継続して所有する。現在は空港施設は市が、ターミナルビルと駐車場は市などが出資する神戸空港ターミナルが運営している。
神戸空港には現在、スカイマーク(SKY/BC)と全日本空輸(ANA/NH)、ソラシドエア(SNJ/6J)、エア・ドゥ(ADO/HD)の計4社の国内線が乗り入れている。運用時間は午前7時から午後10時まで、発着枠は1日30往復の制約がある。夏ダイヤでは30往復が離発着し、発着枠は埋まっている。
山谷社長「『1つの空港システム』として発展」
神戸市は、神戸と関西、伊丹の関西3空港の一体運営を求めていた。9月26日に神戸市役所で会見に臨んだ関西エアポート神戸の山谷社長は「新会社は関西エアポート100%出資会社。社長や副社長、役員も関西エアポートと同じ」と述べ、実質的な一体運営が可能だとした。
今後、航空網の最適化と拡充、空港アクセスの改善、関西の人材活用、地域との共生・連携などにより、3空港一体運営での関西経済の活性化を目指す。山谷社長は「それぞれの空港がばらばらに発展するのではなく、関西における『1つの空港システム』として発展させる」と強調した。
また、航空系事業では、航空会社への機材大型化の働きかけやビジネス需要の喚起、非航空系事業では、ターミナルビルの改修で商業エリアの拡張などで活性化を図るとした。
神戸空港
・神戸空港の運営権、オリックス連合に優先交渉権 関西3空港一体運営へ(17年7月26日)
・神戸空港、運営権売却に関西エアポート、双日ら名乗り(16年12月1日)
関西空港
・関空、18年通期見通し非公表 山谷社長「国と民間考え方違う」(17年6月1日)
・関空、新路線アジア重視へ 山谷社長「欧米も力抜いてない」(17年5月31日)
・関空と伊丹民営化 関西エアポート始動「特徴違う空港2つある」(16年4月4日)
・オリックス・ヴァンシ連合、新関空会社と運営権契約 関空・伊丹民営化(15年12月15日)
仙台空港は民営化1周年
・仙台空港、民営化1周年 岩井社長「闇鍋が少し見えるようになる」(17年7月3日)
・スカイマーク、仙台復活 神戸へ1日2往復、撤退路線初の再開(17年7月1日)
・ピーチ、9月に仙台拠点化 札幌・台北に新路線(17年5月17日)
・ジェイエア、仙台にE190就航 全便導入へ(16年7月2日)
福岡・高松・熊本・北海道7空港も民営化へ
・福岡空港の民営化、二次審査に3グループ(17年9月19日)
・国交省、高松空港の評価公表 6団体参加、「計画」と「方針」審査(17年8月16日)
・高松空港の民営化、三菱地所連合が基本協定締結(17年8月14日)
・北海道7空港、20年度民営化へ 市場調査開始(17年8月1日)
・熊本空港、20年4月民営化へ 復興の象徴、市場調査開始(17年7月3日)