2019年4月をめどに民営化する福岡空港について、国土交通省航空局(JCAB)は8月10日、運営委託先の一次審査の募集を締め切った。5グループから応募があったという。企業名は非公表だが、九州電力(9508)や西日本鉄道(西鉄、9031)などが出資し、現ターミナルビル運営会社の持株会社である福岡エアポートホールディングスも応募したとみられる。
一次審査は9月まで実施。10月から2018年2月までの競争的対話と、3月からの二次審査を経て、5月に優先交渉権者を選定する。選ばれた企業は特別目的会社(SPC)を設立し、2019年4月から運営にあたる。
運営期間は最長30年間とし、さらに5年間の延長を認めている。運営権者は滑走路やターミナルビル、貨物ビル、駐車場などを一体的に運営する。
2800メートル滑走路1本のみで運用する福岡空港は、2500メートルの第2滑走路の増設など、拡張を計画。ターミナルビルは、1969年から47年間使用されてきた国内線第1ターミナルビルが、2016年10月4日を最後に閉館し、旧第2・第3ターミナルビルを改称した「国内線旅客ターミナル」に国内線を集約している。
現在の運営は、空港施設が国、ターミナルビルが福岡空港ビルディングとなっている。福岡空港ビルディングの株主は持株会社の福岡エアポートホールディングスで、九電や西鉄のほか、日本航空(JAL/JL、9201)やANAホールディングス(9202)などが出資している。
国内の空港民営化をめくっては、関西空港と伊丹空港が2016年4月1日に民営化。オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)が設立した、関西エアポートが運営している。
関空や伊丹に乗り入れる航空会社からは「利用者の利便性よりも、カネ儲けを優先している」など、民営化以降さまざまな不満が噴出。両空港では、必ずしも民営化が空港の健全な発展につながっていないケースもみられる。
関連リンク
福岡空港特定運営事業(国交省)
福岡空港
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