三菱重工業(7011)は7月17日、横浜の三菱みなとみらい技術館で女子中学生を対象としたイベント「世界に誇る日本のものづくり 航空機編」を開いた。
三菱重工は、女子中高生による理系への進路選択を応援する内閣府や文部科学省、経団連(日本経済団体連合会)が連携した「夏のリコチャレ2017 理工系のお仕事体感しよう!」に賛同し、イベントを開催。17日午前に開かれた中学生の部には、横浜をはじめ三重県や米国などから9人が参加した。
—記事の概要—
・「サイエンスの考え方が基準になる」
・年間17万人が来館
「サイエンスの考え方が基準になる」
イベントでは、航空機が飛ぶ仕組みをはじめ、機体の大きさや重さがどのくらいあるのかといった講義が開かれた後、扇風機やドライヤー、スプーン、アクリル板を使い、機体が浮く揚力の実験などが行われた。その後は、同館の「航空宇宙ゾーン」に展示している国産初のジェット旅客機「MRJ」のモックアップ(実物大模型)を見学した。
モックアップは、2016年2月にリニューアル。機内には飛行試験5号機に使用予定だったシートやオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)などを設置し、実機を忠実に再現した。機内だけではなく、米プラット・アンド・ホイットニー製のギヤード・ターボファン・エンジン「PurePower PW1200G」のモックアップなども展示している。
技術館の能宗(のうそう)俊起館長によると、モックアップと一緒にリニューアルしたフライト・シミュレーターが人気で、混雑時は1時間半ほど並ぶという。
航空機やMRJに関する講義後はアンケート用紙が配られ、参加した子供たちが「ものを作る職業」や「わたしが気になる仕事」などの項目を記入。機体のデザイン研究に興味を持ったり、エンジンの改良に興味を持った子供もみられた。
横浜から参加した中学1年生の北川百佳(ももか)さんは、学校でイベントを知り、参加した。「飛行機がなぜ飛ぶのかが疑問でした。MRJは新しい世代の機体なので興味がありました」と話す北川さんは、2020年に東京オリンピックが開かれることから、日本らしいデザインを考えてみたいという。
「まだやりたいことはそんなに決まっていないけど、デザインを考える上でも、何をする上でも、サイエンスの考え方が基準になると思います」(北川さん)と、しっかりした目標を話してくれた。
年間17万人が来館
講師を務めた技術館の佐野麻季さんは、学校や企業との連携を企画したり、普段も館内の案内をすることがあるという。先月は未就学児向けのイベントを多く開いたが、今月からは中学生や高校生向けの企画を開催していく。その中で、リコチャレのイベントを開いた。
佐野さんは、「私自身も飛行機が好きなので、彼女たちに思いが伝わるとうれしいです。校外で知ることが、彼女たちの財産になって欲しいですね」と、講義への思いを話した。
三菱重工は、リコチャレに2015年から参加。今回で5回目の開催となり、17日の航空機編に続いて8月11日にロケット編、9月18日に風力発電編を開く。
技術館は1994年6月にオープン。航空宇宙ゾーンのほか、「海洋ゾーン」や「交通・輸送ゾーン」「環境・エネルギーゾーン」「トライアルスクエア」などを設けており、小学生や修学旅行の中学生などを中心に、年間約17万人が訪れている。
*写真は17枚。
関連リンク
理工チャレンジ(内閣府)
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