エアライン, 企業, 空港 — 2017年7月14日 13:45 JST

JAL、生鮮品の輸出拡大で連携 世界市場ら、8月から香港向け

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 日本航空(JAL/JL、9201)は、農産物流通システムを展開する農業総合研究所(3541)と世界市場(東京・赤坂)の2社と連携協定を締結したと、7月12日に発表した。今後、農産物の輸出拡大を進め、日本の地域活性化を支援する。8月から香港向けに生鮮品の輸出を開始し、将来はシンガポールや台湾など、販路を拡大する。

農作物を前に談笑する(左から)農業総合研究所の及川智正社長、世界市場の村田社長、JALの植木義晴社長、岩越貨物郵便本部長=17年7月12日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
空輸で生鮮品出荷可能に
新たな航空需要創出

空輸で生鮮品出荷可能に

 農業総合研究所は、農産物流通システム「農家の直売所」を国内で展開。全国の生産者とスーパーマーケットをITでつなぎ、情報と物流、決済のプラットフォームを構築している。

 生産者は価格や売り先を決定し、バーコードを発行し出荷。農業総合研究所の全国66カ所の集荷場から、スーパーに配送し販売する。農作物は原則翌日に店頭に並ぶ。

 世界市場は農業総合研究所の孫会社で、「農家の直売所」をモデルとした市場プラットフォーム「ニッポンイチバ(NIPPON ICHIBA)」を海外展開。ことし2月から香港での販路を確保し、日本産の農作物を販売している。現在は神戸港からの海上輸送で、野菜や果物などを出荷。およそ7日で香港で店頭に並ぶ。

 3社の提携により、8月からは空輸を開始する。空輸により、従来は困難だった生鮮品などを販売できるようになる。当初は和歌山と北海道の集荷拠点から、世界市場が羽田と成田に陸送。両空港からJALが香港へ空輸する。

 将来的には集荷拠点を拡大し、日本の各空港から世界各地へ空輸するなど、事業強化も視野に入れる。

新たな航空需要創出

 JALは2011年5月から、地方と共同で観光振興や農水産物を紹介する「JAPAN PROJECT」を展開。JALの岩越宏雄・貨物郵便本部長によると、地元からは特産品を海外に輸出したいとする要望があったものの、海外への販路を確保できないため断念していたという。

 世界市場の村田卓弥社長は「イチゴなど、厳格な鮮度管理が必要な農産物の海外展開が可能となる。輸出可能な農産物の種類が増える」と提携のメリットを説明。岩越本部長は「獲れたままの状態で食べてもらいたい」と述べ、新たな航空需要の創出にもつなげたい考えを示した。

 JALは日本郵便と共同で、冷蔵・冷凍輸送を可能にする専用ボックスを開発。最大で80時間一定温度を保つことができる。2013年4月からは国際スピード郵便(EMS)による小口の保冷配送サービス「クールEMS」を、台湾と香港、シンガポールなど6カ国・地域を対象に展開し、マグロやホタテなどの魚介類、メロンやイチゴ、サクランボなどの果物や野菜、ヨーグルトやプリン、ロールケーキなどの加工品を空輸している。

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