エアバスは、2017年から2036年までの20年間の民間航空機市場予測を現地時間6月9日に発表した。今後20年間で航空輸送量は年平均で4.4%ずつ増加し、100席以上の旅客機3万4170機と、10トン以上の貨物機730機の計3万4900機の新造機が必要との見通しを示した。昨年予測した3万3070機から1830機積み増した。
カタログ価格で換算すると、総額5兆3000億ドル(約583兆円)相当。一方、2018年から月産3機を1機に減産するA380など超大型機については、20年間の新造機需要を74機下方修正した。
—記事の概要—
・パイロット53万人必要
・単通路機の大型化続く
パイロット53万人必要
現在世界で運航されている航空機1万8890機が2036年までに2倍以上に増加し、約4万機になると予測。1万2870機の経年機が、燃費の良い機体に置き換えられるとみている。
航空輸送量の成長は、中国やインド、その他アジア各国、中南米のような新興市場で最大の伸びを見せると予測。北米や西ヨーロッパといった成熟市場における年間成長率3.2%の約2倍の成長率を見込んでいる。新興市場は現在、世界人口の74億人に対し64億人の人口となっている。
アジア太平洋地域は、今後20年間で新造機引き渡しの41%を占める見通し。第2位の欧州が20%、第3位は北米の16%と続いている。中間層の人口が倍増して50億人になり、特に新興国で空の旅がより身近なものになるとみている。
また、今後20年間で新造機の運航と整備には、パイロット53万人と整備士55万人が必要になるとの見通しを示した。
単通路機の大型化続く
A330やA350 XWB、A380といったワイドボディー(双通路)機市場では、今後20年間で約1万100機、カタログ価格で総額2兆9000億ドル相当の旅客機と貨物機が必要になると予測している。新造機の引き渡し総数のうち29%、金額で54%を占める。
このうち、A330やA350といった中大型機は昨年の予測より626機増の8686機、A380などの超大型機は74機減の1406機と予測している。
A320neoなどナローボディー(単通路)機市場では、20年間で2万4807機(前年比1277機増)の新造機需要がある見通しで、カタログ価格換算では2兆4000億ドルにのぼる。新造機需要全体の71%、金額で46%を占める。
エアバスによると、輸送量増加に伴い、航空会社が発注する機体サイズを大型化する傾向が続いているという。A320neoファミリーで座席数がもっとも多く設定できるA321neo(1クラス240席)は、2016年の単通路機引き渡し機数の41%、受注の65%を占めた。
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