2013年3月から増枠する羽田空港の国内線発着枠(スロット)1日25枠(年間2万回、1日25便分)の航空会社への配分が、早ければ週内にも決定する見込みだ。今後滑走路の増設などが行われない限り最後といわれる今回の配分では、全日本空輸(ANA、9202)が前回2010年10月の配分と同等の8枠か9枠となるのに対し、日本航空(JAL、9201)は前回の7枠から半減。3枠か4枠になるとみられることが霞ヶ関関係者への取材でわかった。
全25枠のうち、約半分にあたる12枠から13枠がスカイマーク(SKY、9204)など新規航空会社4社へ配分され、残り12枠ほどがJALとANAの割り当てになる見通し。この12枠をJALとANAで6枠ずつに分け、JALは「企業再生期間は本来運航が行えなかった期間」として、支援を受けていた期間に相当する44%分を減点すると3枠程度。浮いた3枠がANAに加算されると9枠になる。
JALが破綻事業者として公的支援を受けた期間は評価対象から除外し、減点するとした案は、国土交通省航空局(JCAB)が11月19日に行われた5回目の有識者会議「羽田発着枠配分基準検討小委員会」で提示したもの。各委員からは「破綻期間をまったく評価しないのは適正ではない」など異論が噴出した。10人の委員からなる同委員会は7月から計5回行われたが、4回目まではこうした案の提示はJCAB側からはなかった。
4回目までの委員会では、JCABが行う航空会社の評価そのものについても「透明性や客観性が確保できるのか」「国交省の裁量にゆだねられる。客観性や透明性など歯止めが必要」と評価の透明性や客観性について意見が相次いでいた。5回目の委員会で異論が続出したJALの企業再生期間に関する評価方法は、こうした観点でみれば6回目の委員会を開いて議論すべきものであっただろう。
しかし、公の場での議論ではなく、JCABが取りまとめたものを「各委員へ個別説明」することで幕引きを図った。一連のJCABの対応については「政権復帰する可能性が出てきた自民党への配慮」(霞ヶ関関係者)との声も聞かれる。
「羽田の発着枠は国民の貴重な財産」とJCAB自らが位置づけ、多様な議論が公の場で行われてきた有識者会議とは、いったい何だったのだろうか。
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国土交通省
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