デルタ航空(DAL/DL)は現地時間3月28日(日本時間29日)、退役したボーイング747-400型機の初号機(登録番号N661US、機体番号6301)を、アトランタの本社内にあるデルタ航空博物館でお披露目した。
世界初の747-400
初号機は747-400として最初の機体で、1988年4月29日に初飛行。747-400のローンチカスタマーで、合併前の旧ノースウエスト航空が1985年10月22日に発注し、1989年12月に引き渡された。2008年に両社が合併後はデルタの機材になり、ラストフライトは2015年9月9日のホノルル発アトランタ行きDL836便だった。
退役時の座席数は、3クラス376席(ビジネス48席、エコノミーコンフォート42席、エコノミー286席)。エンジンはプラット&ホイットニー製PW4000シリーズのPW4056(推力5万6000ポンド)を4基搭載する。
初号機は東京や名古屋、大阪、ホノルル、ソウル、マニラ、アムステルダム、テルアビブなど、多くの長距離路線に投入された。退役までの26年間で、地球と月を250往復する距離に匹敵する6100万マイル(約9800万キロメートル)を飛行した。
デルタが現在運航している747-400は7機。機体番号6302(登録番号N662US)、6306(N666US)、6307(N667US)、6308(N668US)、6309(N669US)、6310(N670US)、6314(N674US)で、年内に全機が退役する計画になっている。いずれもノースウエストが発注した16機のうちの7機となる。
翼上にテラス
博物館での公開に合わせ、747の機体構造がわかるよう、デルタの整備部門「Delta TechOps(デルタ・テックオップス)」のスタッフが展示用に改装。天井の一部を露出し、床も一部をガラス張りにした。断熱材や配線、空調ダクトなど、旅客機に不可欠なものを見ることができる。
メインデッキ(1階席)最前方とアッパーデッキ(2階席)のビジネスクラス「デルタワン」は、フルフラットのベッドポジションを体験できる。コックピットに加え、パイロットや客室乗務員が仮眠するスペース「クルーレスト」も見学できる。
アッパーデッキ後方にあったギャレー(厨房設備)は撤去され、メインデッキを眺められるようにした。メインデッキには、747にまつわる映像を流すモニターを設けている。
右側の主翼上にはテラス「ウイングウォーク」を設けた。博物館のジョン・ボートライト館長は、「展示に向けた改修作業でもっとも時間を要したのが、ウイングウォークだ」と話し、一度に49人が翼上からの眺望を楽しめるという。
博物館は、デルタの旅客便運航開始から85周年にあたる、2014年6月17日にリニューアルオープン。アトランタの本社に隣接し、1940年代には整備用ハンガー(格納庫)があった場所に設けられた。
今回の初号機展示にあたり、改修に必要な資金のうち、社員が中心となって進めている「The Airloom Project」が、60万ドル(約6665万円)以上の寄付を集めた。12月まで寄付を募る。
デルタは747-400などの後継として、エアバスA350-900型機を2014年11月に25機発注。初号機は今秋受領する見込みで、世界で初めてビジネスクラスにスライド式ドアを設け、個室空間を用意する。日本路線にも早期投入を検討している。
*写真は18枚。
関連リンク
デルタ航空博物館
The Airloom Project(デルタ航空)
Delta Museum
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