防衛装備庁は3月27日、航空自衛隊が運用している輸送機C-1の後継となる次期輸送機の試験機XC-2について、同日までに開発を完了したと発表した。部隊使用承認を得たことから、C-2として運用を今後開始する。
約7割が国産
C-2は川崎重工業(7012)が手掛け、機体全体の約7割が国産。全長43.9メートル、全幅44.4メートル、全高14.2メートルで、最大積載量はC-1の約3.8倍となる約30トン、最大離陸重量は同3.1倍の141トンとなった。
高さ4メートルの貨物室を確保するため、胴体上に主翼を乗せる高翼構造を採用。胴体後部に車両や中型ヘリコプターのUH-60Jなどを搭降載する大型ドアを設けるため、水平尾翼を垂直尾翼上部に乗せたT字翼とした。
この貨物室の構造により、日本の道路を通行できる高さの車両は、貨物室の長さと幅に収まれば、大型セミトレーラーも自走して搭載できる。
航続距離は、12トン搭載時でハワイまで飛べる約6500キロで、2.6トン搭載時に1700キロだったC-1よりも大幅に伸びた。胴体前方上部には、フライングブーム型の空中受油装置を設けた。
エンジンは米GE製CF6-80C2を2基搭載し、スラストリバーサーを用いた自力後進にも対応する。CF6は民間機のボーイング767型機のほか、航空自衛隊では政府専用機747-400、早期警戒管制機E-767、空中給油・輸送機KC-767が採用している。
コックピットにはヘッドアップディスプレー(HUD)を装備し、フライバイワイヤによる操縦システムを採用。パイロット2人乗務で運航できる。
美保基地に配備
川崎重工は試験機XC-2の契約を2002年3月に防衛庁(当時)と締結。同時開発した海上自衛隊の固定翼哨戒機P-1は、2012年9月25日に量産初号機(機体番号5503)が初飛行に成功し、2013年3月26日に防衛省へ納入している。
2機製造した試験機XC-2は、初号機が2010年1月26日に初飛行した。今回納入した量産機C-2の初号機は2012年に製造を開始し、今年5月17日に初飛行した。初号機は今後、岐阜基地で自衛隊による実用試験などを実施し、鳥取県の美保基地に配備する。
防衛省はC-2を2016年度は初号機を含めて3機、2017年度に2機、2018年度に3機の計8機を受領予定。2018年度までの中期防衛力整備計画では、10機体制を計画している。
防衛装備庁によると、開発費は総額2643億円で、機体とエンジンなどを含めた調達価格は2016年度は1機当たり229億円、量産初号機は188億円になるという。
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