4月から仏ATRのターボプロップ機ATR42-600型機を就航させる日本エアコミューター(JAC/JC)。初号機(登録番号JA01JC)は現地時間1月20日、仏トゥールーズで受領し、ギリシアのイラクリオンや、エジプトのシャルムエルシェイク、バンコク、台北など7カ所を経て、26日に鹿児島へ到着した。
ATR42の機内に立つJACの客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACは2015年6月15日、パリ航空ショーでATR42の発注を発表。2019年までに9機導入する。ATRとしては、1500機目の契約がJAC機となった。ATRでは、ジェット機よりも燃費効率が良いことから、ATR42を「エコ・プロップジェット」と呼び、ブランディングしている。
座席数は1クラス48席。現在はサーブ340B型機(1クラス36席)と、ボンバルディアDHC-8-Q400型機(同74席)を、9機ずつ運航している。2019年までにサーブ340BをATR42に置き換える。サーブ340Bと比べ、座席数は1便あたり3割増える。
JACによると、喜界島空港のように滑走路が1200メートル級の空港では、サーブ340Bは気象条件により、夏場は定員を30席に制限して運航しているという。客室の快適性と静粛性、離着陸性能の高さが、ATR42を導入するポイントになった。
ATR42初号機の前に立つJACのパイロットと客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
初号機と2号機は、特別塗装を施す。鹿児島のタラデザイン専門学校にJACが依頼し、鹿児島県の多くの離島で「市町村の花」となっているハイビスカスを基調としたデザインが決まった。
進行方向左側後方の大きなハイビスカスを鹿児島、左下に広がる7つのハイビスカスは、JACが就航している鹿児島県内7つの離島を表現。5本のラインは「水引」をイメージし、地域と地域、人と人を結び、過去から現在、未来へとつないでいく想いを込めた。
機体後部にハイビスカスを描いたJACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機内仕様はJALグループの機体として、JALの国内線新仕様機「スカイネクスト」に準拠。黒のレザーシートに、ワインレッドのシートベルトやヘッドレストカバーを配した。シートはリクライニングでき、ひじ掛けも可動式となる、ATRのカタログモデル2種類では上位タイプの「プレステージ」を採用した。
ATR42の初便は、4月26日の鹿児島発屋久島行きJC3741便。就航1カ月前の3月26日には、JACの格納庫で「JACフェスティバル」を開催し、ATR42の機体展示やサーブ340Bのシミュレーター見学、航空教室、ミニライブ、抽選会などが開かれる。
JACは鹿児島を拠点に、屋久島や奄美群島などの離島路線を運航。福岡や伊丹などにも乗り入れている。2018年度には7年ぶりの新路線で、JAC初の沖縄県内路線となる、沖永良部経由の徳之島-那覇線を開設する。
JACが特注したATR42のストレッチャー設置スペース=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
離島を結ぶ生活路線が中心となることから、ATR42にはJACの特注仕様で、ストレッチャーを設置できるスペースを設けた。左側後方座席を3席分前方に倒して設置し、ストレッチャーの周りはカーテンで仕切ることが出来る。
JACによると、ストレッチャーによる病人の搬送は、年に20-30件程度あるという。従来機でもストレッチャーを運用できたが、カーテンはなく、ほかの乗客の視線が気になるという声が利用者から寄せられていた。
機体後部にハイビスカスが描かれたJACのATR42初号機の前に立つ加藤社長(左から2人目)とパイロット、客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
後方に1つある化粧室(ラバトリー)には、おむつを替える際に使える台を設置。このおむつ台もJACの特注で、ATRの通常仕様にはない。
JACの加藤洋樹社長は、ATR42の就航で「離島の生活路線としての任務を全うしたい」と話す。ATR就航と同時に、鹿児島をはじめ乗り入れる空港には、可動式の「ボーディング・スロープ」を配備。ATR42は搭乗橋(PBB)が使用できず、乗客が機体後方のドアから乗り降りする。
JACが検証したところ、特にお年寄りが機体から降りる際、従来機よりも急角度になる階段が不安に感じられるとのことから、スロープの配備を決めた。
スロープを機体に横付けすることで、車椅子を利用している人も、そのまま乗り降りできる。ボーディング・スロープを横付けする時間は、慣れると1分から1分半程度だという。
日本でATR機を導入するのは、2016年2月20日に運航を開始した天草エアライン(AHX/MZ)に続き2社目。JACと天草は、ATR42の運航や整備で協力体制を構築していく。
また、ATRは鹿児島空港に日本やアジア諸国を対象とした、パーツセンターを建設する。JACはサーブ340Bのシミュレーターを運用していることから、ATR42もシミュレーター導入を検討。実現すると、鹿児島空港は日本におけるATR機の整備や訓練の拠点となる。
*写真は76枚(外観→客室→ストレッチャー→ラバトリー→ギャレー→コックピット→外観詳細→貨物室→ボーディング・スロープ→サーブ340B)
JACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機体後部にハイビスカスを描いたJACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機体後部にハイビスカスを描いたJACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機体後部にハイビスカスが描かれたJACのATR42初号機と客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ATR42初号機を紹介するJACの客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の機内=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方左側席=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方左側席=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機前方の左側最前列席=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方右側席=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方右側席=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機右側最前列にある向かい合わせの席=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の手荷物収納棚=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
米ドンケのカメラバッグ「F-3XBB」を置いたJACのATR42初号機の手荷物収納棚=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ATR42の機内を紹介するJACの客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
リクライニングしたJACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
前席をリクライニングしたJACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
前席と自席をリクライニングしたJACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
テーブルを出したJACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
テーブルを手前に引き出したJACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
中央のひじ掛けを上げたJACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
通路側のひじ掛けを上げたJACのATR42初号機のシート=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の機内=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACが特注したATR42後方左側のストレッチャー設置スペース=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACが特注したATR42後方左側席3席を前に倒して設置したストレッチャー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACが特注したATR42後方左側に設置したストレッチャー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACが特注したATR42のストレッチャー設置スペース=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACが特注したATR42後方左側のストレッチャー設置スペースはカーテンで仕切ることが出来る=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のラバトリー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のラバトリー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
おむつ台を特注で装備したJACのATR42初号機のラバトリー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ラバトリーに設置された特注のおむつ台=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機後方右側にある照明などの操作パネル=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機後方右側にあるギャレー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機後方右側にあるギャレー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機後方右側にあるギャレー=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ATR42のジャンプシートに座るJACの客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のコックピット=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のコックピット=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のコックピット機長席側=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のコックピット副操縦士席側=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機JA01JCの銘板=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機体後部にハイビスカスを描いたJACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のステップ=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機体後部にハイビスカスを描いたJACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機体後部にハイビスカスを描いたJACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ATR42初号機のステップに立つJACの客室乗務員=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
機体後部にハイビスカスを描いたJACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のブレード=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のブレード=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のブレード=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前脚=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の主脚=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の主脚=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機のエンジン排気口=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方貨物室=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方貨物室=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方貨物室=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方貨物室=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方貨物室=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機の前方貨物室=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機(左)とボーディング・スロープ=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42初号機(右)とボーディング・スロープ=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのサーブ340B(手前)とATR42=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのサーブ340B(手前)とATR42=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JACのATR42(奥)とサーブ340B=17年3月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
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