エアライン, 官公庁, 空港 — 2017年3月10日 09:10 JST

IATA事務総長、羽田着陸料値上げ「慎重に考えて」

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 IATA(国際航空運送協会)のアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は3月9日、4月に値上げが予定されている羽田空港の国際線着陸料について、「慎重に考えて欲しい」と見直しの動きをけん制した。

羽田の着陸料値上げについて「慎重に考えて欲しい」とけん制するIATAのジュニアック事務総長=17年3月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 羽田の国際線着陸料は、1998年以来19年ぶりに見直される。都内で会見したジュニアック事務総長は、日本の着陸料について「以前より改善されたが、着陸料の高い空港として関西空港は上から13位、成田は23位だ」と、依然として割高であると言及した。

 羽田については、第三者による調査のため順位はわからないとしながらも、「関空の13位よりは上」と述べ、近隣諸国の空港に比べ、航空会社には重い負担になっていることを示唆。「海外にはライバルとなる、競争力のある空港がある」として、値上げについて慎重に検討することを求めた。

 ジュニアック事務総長は、日本政府が2020年の訪日旅客数を年間4000万人、2030年には6000万人と目標を掲げていることについて、羽田の発着回数増加につなげるため、都心上空の飛行制限緩和や、米軍横田基地の空域返還などの必要性を指摘した。

 「東京オリンピックへの準備は、訪日客数6000万人の実現に向け、長期的な計画の一部でなければならない」と述べ、2030年を視野に入れた空港整備の重要性を説いた。

 また、1月に米国のトランプ大統領が、中東など7カ国からの入国禁止措置を取ったことについては、「IATAはオープンボーダー(開かれた国境)を提唱し、推奨している。さまざまな交流は、航空業界の利益になる。国境をどう扱うかを決めるのは各国政府だが、入国制限や国境閉鎖は十分余裕を持ち、周知や事前協議をすべきだ」と、見解を述べた。

 3月6日にトランプ大統領が署名した新大統領令については、「2回目はいきなりの発効ではなく、原則に基づいて実施される」との見方を示した。

 IATAには約265社の航空会社が加盟し、世界の定期便のうち約83%を加盟社が占めている。ジュニアック事務総長は、エールフランス-KLMグループの会長兼CEOを2013年から2016年まで務め、2016年9月1日に第7代事務総長兼CEOに就任した。

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