ボーイングは現地時間3月6日、単通路機737型機では胴体長が最長となる737 MAX 10Xの開発を検討していることを明らかにした。すでに一部の航空会社には、導入を働きかけている。次世代小型機市場で、エアバスのリードを許しているボーイングは、ラインナップの見直しで巻き返しを図る。
737 MAXは737の発展型で、新型エンジンを採用した4機種で構成。標準型は2016年1月29日に初飛行した737 MAX 8(1クラス189席)で、日本の航空会社も多数導入している737-800の後継となる。737 MAX 8をLCC向けに座席数を増やした737 MAX 200(同200席)、もっとも胴体が短い機体で737-700の後継となる737 MAX 7(同172席)、胴体がもっとも長い737-900ERの後継機737 MAX 9(同220席)がある。
開発を検討している5機種目の737 MAX 10Xは、7日にロールアウトした737 MAX 9の胴体を延長し、1列で6席ある座席を2列増やすことで12席上積みする。
ボーイングは2016年7月、737 MAX 7の設計を一部見直した。737-700と同じだった胴体長を、前部胴体を約0.8メートル(30インチ)、後部を約1.2メートル(46インチ)の合わせて約1.9メートル(76インチ)延長。1列6席の座席を2列増やして12席上積みした。737 MAX 10Xも12席増となることから、全長は同程度長くなるとみられる。
737 MAX 9や737 MAX 10Xと競合するのは、エアバスのA321neoで、メーカー標準の座席数は1クラス236席、2クラス185席。1クラス232席程度を計画している737 MAX 10Xであれば、A321neoと同程度の乗客を運べるようになる。
ボーイングは、737 MAX 10XはA321neoと比較し、運航コストを座席または輸送距離あたりで5%削減するとしており、「これまでの中で、もっとも収益性の高い単通路機」と表現している。
一方、エアバスはギャレー(厨房設備)やラバトリー(化粧室)の配置を最適化することで、LCCで採用されている高密度シート配列であれば、240席程度まで増やせるとアピールしている。
ボーイングは、737 MAX 8の量産初号機引き渡しは、今年4-6月期(第2四半期)を計画。737 MAX 9は2018年、737 MAX 7と737 MAX 200は、2019年の商業運航開始を目指す。737 MAX 10Xは、開発が今年スタートした場合、2020年に就航できる見通し。
1月末時点で、737 MAXファミリーは世界の83顧客から3612機の受注を獲得。一方のA320neoファミリーは、5063機を2月末時点で受注しており、次世代小型機の受注はエアバスがリードしている。
また、737 MAXと787の間に位置する「MOM(ミドル・オブ・ザ・マーケット)」の機体である757の後継機については、737 MAX 10Xとは市場が異なるとの見方を、ボーイングは示している。
757は中型の双通路機767と同時開発された中型単通路機。座席数は、標準型の757-200が2クラス仕様で約200席、胴体を延長した757-300が約250席となっている。エアバスは、A321neoの最大離陸重量を引き上げた「A321LR」で、757の置き換え需要を取り込み始めている。
関連リンク
Boeing
ボーイング・ジャパン
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