全日本空輸(ANA/NH)をはじめとするANAグループは3月6日、2019年春に就航予定の超大型機エアバスA380型機の特別塗装デザインを発表した。2016年10月の弊紙既報の通り、成田-ホノルル線に投入する。
*初便就航の記事はこちら。
ファースト付きA380をハワイへ
ANAを傘下に持つ持株会社のANAホールディングス(ANAHD、9202)は、A380の新造機を3機導入。エンジンはロールス・ロイス製トレント900を選定した。座席数は500席から600席の間で検討を進めている。
ファーストクラスを設定すると共に、家族連れを意識した内装を取り入れ、成田を夜出発してホノルルへ昼前に到着する便に投入する。ANAグループは、日本で初めてA380を運航する航空会社となる。
特別塗装は全機に施す。今回公開されたのは初号機のもので、デザインを2016年10月7日から11月30日まで募集。世界各国から2197作品の応募があり、東京都の自営業・増岡千啓(ちひろ)さんのデザインが大賞に選ばれた。
増岡さんは「ウミガメの家族」をコンセプトに、ハワイの青い海で、ゆったりとくつろぐウミガメの親子を描いた。「妻が応募していたのを見て、別々に応募した。妻も喜んでくれた」と話す増岡さんには、東京-ハワイ線ビジネスクラスのペア航空券がプレゼントされた。
ウミガメはハワイ語で「ホヌ」の愛称で親しまれ、ハワイでは神聖な生き物とされている。ウミガメを見ることが出来ると、幸福や繁栄が訪れると言われていることから、ANAでは特別塗装機の愛称を「空飛ぶウミガメ」の意味を持つ「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」と名付けた。
ANAの篠辺修社長は「2000を超える応募のうち、4割が海外からだった。カメは万年生きるので、いいかなと思った。ハワイでは神聖なものとされており、日本もそうなので良いのではないか」と、選定理由を説明した。
ファミリー層を意識
世界最大のA380運航会社である中東のエミレーツ航空(UAE/EK)では、3クラス489席(ファースト14席、ビジネス76席、エコノミー399席)、2クラス615席(ビジネス58席、エコノミー557席)の機材を運航している。
シートなど、A380の内装について篠辺社長は、「まだ固まっていないので、(発表は)早くても年末か1年後くらいになるのでは」と述べ、「コンセプトはファミリーを意識し、既存の飛行機では用意できなかったものをご用意したい」と語り、家族向けのシートを投入する考えを示した。
ファーストクラスについては、「入れる。(以前の計画と比べて)どのくらい変化しているかは、お待ちいただきたい」(篠辺社長)と述べるに留めた。
特別塗装は、3機すべてに施すという。「3つとも同じかどうかは、若干幅を持たせた」と篠辺社長は語り、初号機のデザインを基に、3機が異なる塗装になる可能性もあるという。
ANAのハワイ路線は、成田-ホノルル線が1日2往復と、羽田-ホノルル線が1日1往復の計3往復。一方、競合の日本航空(JAL/JL、9201)は、東京-ホノルル線を1日4往復、関西と中部からホノルル線を1日1往復ずつと、2倍の便数を運航している。JALの牙城であるハワイに500席以上の機材を導入することで、勝負に出る。
篠辺社長は「ロードファクター(座席利用率)は、どれも9割とよく乗っていただいている。提供座席数のシェアは小さいので、A380を3機入れても十分乗っていただける」と語った。
一方、ハワイ路線の特典航空券が取りにくい、という声がマイルを貯めている利用者から寄せられていることについて、「増便しても200席くらいでは全然足らないので、こういう飛行機を入れることにした」(篠辺社長)と話し、マイル会員へのサービス改善につなげる姿勢を示した。
また、提供座席数が大幅に増えることで客単価の下落につながるのではとの見方については、「一番身近な例でJALさんと比べると、3分の1にも達してない。A380が全機入っても、JALさんには届かないはずで、供給過多の手前だと思う」と語った。
投入路線について、篠辺社長は「成田-ホノルル線から。羽田は滑走路など制約がある」と述べた。
*写真は7枚。
関連リンク
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エアバス・ジャパン
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