エアライン, 空港, 解説・コラム — 2017年1月19日 08:55 JST

関西空港、新LCCターミナル公開 28日からピーチ乗り入れ、春秋は3月

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 関西空港と伊丹空港を運営する関西エアポートは1月18日、LCC専用の国際線新ターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」を、報道関係者に公開した。28日に開業する。国際線機能を強化することで、さらなる訪日外国人の受け入れを目指す。

*就航初日の記事はこちら

国内初導入となる関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」のウォークスルー型ショッピングエリア=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
年間835万人に対応
2つの日本初
山谷社長「お客様に迷惑かけない」
ピーチ、新路線に意欲

年間835万人に対応

 現在の第2ターミナルは、2012年10月28日に開業。ピーチ・アビエーション(APJ/MM)が国内線と国際線の全路線で使用しており、その他の航空会社は乗り入れていない。新ターミナルにはピーチのほか、3月からは関空を拠点化した春秋航空(CQH/9C)が乗り入れる。

 今回の拡張工事により、第2ターミナルの敷地面積は3万6000平方メートル広くなり、6万6000平方メートルになる。

1月28日に開業する関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 拡張により搭乗口は11増えて21となり、国内線は年間550万人、国際線は285万人の合わせて835万人と、従来と比べて約2倍の利用に対応。バスの停留所も、出発と到着ともに2カ所ずつ増やす。

 大阪市内などへ向かうリムジンバスは、原則として第2ターミナル発着となり、第1ターミナル経由で目的地へ向かう。また、駐車場は従来より700台多い1600台が止められる。

 21カ所となる搭乗口のうち、国内線用が9(拡張前は4)、国内・国際線両用が6(同3)、国際線用は6(同3)。駐機場は、エアバスA320型機やボーイング737型機など小型機の利用を主に想定しているが、国際線用と国内・国際線両用の部分には、エアバスA330型機など中・大型機の乗り入れにも対応しており、最大5機を駐機できる。

1月28日に開業する関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」。80番から85番搭乗口が国際線用、86番から91番までが国内・国際線両用となる=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

2つの日本初

 新ターミナルには、2つの「日本初」を導入する。出国審査後の制限エリアに、国内空港では初めてウォークスルー型ショッピングエリアを設置。免税店や物販店、レストラン、ATM、両替所を設ける。

国内初導入となる関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」のウォークスルー型ショッピングエリア=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 制限エリア内には、ピーチの免税店「Fuchsia by peach」や時計店、ドラッグストア、カフェなど、8店舗が主なテナントとして入る。また、外貨の自動両替機やATMも設置する。店舗面積は1640平方メートルで、このうちウォークスルー型免税店は、66.5%にあたる1090平方メートルになる。

 2つ目の日本初は、保安検査場に導入する利用者の待ち時間短縮を図る「スマートセキュリティー」システム。手荷物のX線検査レーンの長さを17メートルとし、国内の空港が採用している7メートルよりも長くする。

 レーンを長くすることで、複数の利用者が同時に使用できるようにする。手荷物を載せるトレーも自動で流れるようにし、レーンを通過できる人数を現在の1時間あたり180人から、2倍近い300人に増やす。

 金属探知機と係員が身体に触れる接触検査によって実施しているボディーチェックに、ボディースキャナーを導入。関西エアポートによると、レーンの改良と合わせて、利用者の待ち時間は従来の3分の1に短縮されるという。保安検査の待ち時間を短縮することで、利用者にショッピングエリアで買い物や食事をしてもらい、非航空系収入の拡大を目指す。

中国人に人気の炊飯器も並ぶ免税店エリア=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」に開業するピーチの免税店「Fuchsia by peach」=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」には飲食店も出店する=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」のトイレにはウォシュレットを設置=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国内初導入となる保安検査場の「スマートセキュリティー」システム(関西エアポート提供)

山谷社長「お客様に迷惑かけない」

 関西エアポートは、オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)が2015年12月に設立。関空と伊丹の運営は、国に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で関西エアポートへ委託されており、空港用地や施設は、新関空会社と関西国際空港土地保有会社が所有する。契約期間は、2015年12月15日から2060年3月31日までの44年間を予定している。

関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」で行われた竣工式と安全祈願式=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 18日は午前に竣工式と安全祈願式が開かれ、関西エアポートの山谷佳之社長やエマヌエル・ムノント副社長、施工した熊谷組の樋口靖社長、ピーチの井上慎一CEOら、関係者約40人が列席。その後は報道関係者向け内覧会が開かれた。

 午後3時からは開業披露パーティーが開催され、全日本空輸(ANA/NH)出身の末松信介・国土交通副大臣(参院・兵庫、自民)や、関西国際空港推進議員連盟(二階俊博会長)の会長代理を務める北側一雄・元国交相(衆院・大阪16区、公明)をはじめ、国会議員や空港関係者、航空会社など約500人が出席した。

 オリックス出身の山谷社長は、「関空は国内でいち早くLCCに就航していただき、LCCの増便が利用者の著しい増加を実現した。冬ダイヤでは、国際旅客便の34.5%がLCCとなり、就航便数は国内最多となった。近隣アジアのネットワークを充実させることができた」とあいさつした。

 「ピーチと春秋航空には本拠地として発展していただきたい。空港会社としてお客様にご迷惑を掛けないよう、不断の努力をしていく」と決意を述べた。

 ヴァンシ出身のムノント副社長は「格安は必ずしも低サービスではない」と述べ、「お客様と航空会社に選ばれると確信している」と自信を示した。

 末松国交副大臣は「民間事業者ならでは運営で、路線や便数を増やして欲しい」と期待を寄せ、北側元国交相は「完全24時間空港は、国内で関空だけだ」とさらなる活用を求めた。

関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」の開業披露パーティーであいさつする関西エアポートの山谷社長=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空の新LCCターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」の開業披露パーティーで行われた鏡開き=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチ、新路線に意欲

 開業日28日の初便は、到着がピーチの香港発MM068便で午前5時50分着、出発が午前7時15分発の高雄行きMM6035便となる。

 ピーチの井上CEOは、「就航した5年前を思い起こし、よくぞここまで来たなと感じた。当時のNKIAC(新関西国際空港会社)と二人三脚で歩んできて、パートナーは(関西エアポートに)変わったが、これまでの5年(と同じ成長)がまた起きるという期待感が大きい」と語った。

 「関西のポテンシャルは大きく、まだまだ取り込みきれていない」と述べ、国際線と国内線の増便や新路線開設に意欲を示した。

関空第2ターミナルに乗り入れるピーチ。28日に開業する国際線エリアの初便もピーチとなる=17年1月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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