関西空港と伊丹空港を運営する関西エアポートの山谷佳之社長は12月8日、建設が進むLCC専用の国際線新ターミナル「第2ターミナルビル(国際線)」を、2017年1月18日にお披露目する考えを明らかにした。
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ピーチと春秋乗り入れ
今回新設される国際線側の保安検査場には、利用者の待ち時間短縮を図る「スマートセキュリティー」システムを導入。手荷物のX線検査レーンの長さを17メートルとし、国内の空港が採用している7メートルよりも長くする。レーンを長くすることで、複数の利用者が同時に使用できるようにし、処理能力を高める。
出国審査後の制限エリアには、国内の空港では初めてウォークスルー型のショッピングエリアを設置。免税店や物販店、レストラン、ATM、両替所が設けられる。関西エアポートでは、保安検査の待ち時間を短縮することで、利用者にショッピングエリアで買い物や食事をしてもらい、非航空系収入の拡大を目指す。
現在の第2ターミナルは、2012年10月28日に開業。関空を拠点とするピーチ・アビエーション(APJ/MM)が、国内線と国際線の全路線で使用しており、その他の航空会社は乗り入れていない。今回の拡張工事により、第2ターミナルの敷地面積は3万6000平方メートル広くなり、6万6000平方メートルとなる。
現時点で国際線が新ターミナルへ乗り入れるLCCは、ピーチと関空を日本国内の拠点とした春秋航空(CQH/9C)の2社のみ。
18日のお披露目式典には来賓を招く。供用開始の時期について、山谷社長は「航空会社と調整中」と述べるに留めた。
新ターミナルの正式名称が「第2ターミナルビル(国際線)」となることに伴い、既存の第2ターミナルは「第2ターミナルビル(国内線)」に変更する。
第1期決算は経常益実質2.6%増
関西エアポートは、オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)が2015年12月に設立。滑走路の運営や維持管理といった航空系事業と、ターミナルビルの運営など非航空系事業を担う。今年4月1日に関空と伊丹2空港の運営を開始した。
12月8日に発表した第1期の期末決算は、営業収益が891億円、EBITDA(利払前税引前償却前営業利益)が388億円、営業利益が195億円、経常利益が115億円、純利益が75億円だった。第1期は会社が設立された2015年12月から今年9月まで。
関西エアポートと従来運営していた新関西空港国際空港会社では、会計基準が異なる。このため、今回の決算では、関西エアポートでは対象外となった鉄道事業の売上を除外したり、資金調達構造が異なることなどを考慮。同社が比較可能な状態に調整したとする値で比べると、新関空会社の2015年度中間決算と比べ、営業収益は実質2.9%、経常利益は同2.6%それぞれ増加したという。
航空系事業と非航空系事業の売上比率は、非航空系が6割と本業である航空系を上回った。
関空と伊丹の運営は、国に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で関西エアポートへ委託。空港用地や施設は、新関空会社と関西国際空港土地保有会社が所有する。契約期間は、2015年12月15日から2060年3月31日までの44年間を予定している。
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関西国際空港
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