エアライン, 空港, 解説・コラム — 2016年12月7日 09:00 JST

「人間らしさって何だろうと悩んだ」優勝は羽田とソウル、第5回JAL空港コンテスト本選出場12人

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　第5回目となる日本航空（JAL/JL、9201）の「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」。本選では、国内外約5000人の中から選ばれた空港の地上係員（グランドスタッフ）が接客スキルを競った。本選に進んだ12人には、アルメリアの花をデザインした銀バッチが貸与された。

国内空港部門で優勝した羽田空港国際線担当の町野さん＝16年11月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田と金浦が優勝

「おもてなし」が花言葉のアルメリアをデザインした銀バッチ＝16年11月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　アルメリアの花言葉は「おもてなし」。銀バッチはJALのおもてなしの模範となる空港係員であることを社内外に示すもので、歴代の本選出場者が着用している。

　今回は国内と海外の空港を分けて審査。国内部門はアナウンス審査とチェックインカウンターでの実技を連続して審査した。アナウンス内容を受ける形で乗客役の教官が登場し、審査内容を一切知らされていない出場者たちは、カウンターに並ぶ乗客役たちを接客した。海外部門については、アナウンスとカウンター実技の審査を別個に行った。

　審査の結果、国内部門は羽田空港で国際線を担当する町野玲奈さん（10年入社）が優勝。準優勝は福岡空港の野村翼さん（16年入社）、審査員特別賞には高知空港の岡村美音（みお）さんが選ばれた。男性の地上係員が入賞するのは、前回に続き2回目となった。

　海外部門はソウル金浦空港の金健東（キム・グォンドン）さんが優勝し、準優勝に北京空港の魯瑩（ルー・イン）さん、審査員特別賞に天津空港の趙新明（ジャオ・シンミン）さんが選ばれた。羽田は第1回以来、金浦は第3回以来の優勝で、それぞれ2度目となった。

まずはあいさつから

　優勝した町野さんは、関西空港に2007年から勤務していたが、2010年10月に羽田が再国際化した際、現在の国際線ターミナルへ各地の仲間とともに異動してきた。

優勝した町野さん（左から3人目）とキムさん（同4人目）と準優勝の野村さん（同2人目）とルーさん（右から2人目）、審査員特別賞の岡村さん（左）とジャオさん（右）＝16年11月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

アルメリアをデザインした銀バッチを着用する本選出場者＝16年11月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　今回のコンテストでは、10月5日に開かれた羽田空港の代表4人を決める選考会、本選前日の11月14日に開かれた最終予選を勝ち抜いて本選に挑み、優勝の栄冠を勝ち取った。

　現在の空港はチェックイン手続きの自動化が進んでおり、地上係員も以前と比べると乗客との接点が減っている。このため、コンテストのカウンター実技審査で、接客の改善点に気づくことがある。今回のコンテストでは、町野さんは教官から羽田の代表に選ばれた後、“人間らしい接客”を求められた。

　「人間らしさって何だろうと、休みの日も悩みました」という町野さんは、最終的に教官から「素でいきなさい」とアドバイスされ、自分らしく振る舞ったことで結果が付いてきた。

　カウンター実技では、利用者役の一人として赤ちゃんをだっこした母親も登場した。「イスやベビーカーも提案できたらよかったのですが」と残念がる町野さんだったが、常にカウンターで接している利用者だけではなく、列に並ぶ人も気遣っていたことが、勝因のひとつだったようだ。

　町野さんに、地上係員を目指す人や後輩に望むことを聞いた。「自分から気づいて行動して欲しいです。お客様がこういっていた、ではなく、話を引き出せる会話を積極的に」と話す。そして接客だけではなく、まずは仲間同士のあいさつが大事だという。

　「あいさつが出来ていないと、接客もできないです」と、笑顔の奥に強い意志を持って町野さんは断言した。

　本記事では、第5回コンテストの本選出場者12人を写真で紹介する。

国内空港部門
佐藤綾（成田国際線、15年5月）
陳野はるか（羽田国内線、14年6月）
野村翼（福岡国内線、16年4月）準優勝
櫻岡優梨恵（函館、14年4月）
平坂彩（成田国際線、13年7月）
岡村美音（高知、15年4月）審査員特別賞
水野志保（羽田国際線、12年10月）
町野玲奈（羽田国際線、10年10月）優勝
永井麻衣子（関西国際線、14年4月）

海外空港部門
魯瑩（ルー・イン、北京、07年6月）準優勝
趙新明（ジャオ・シンミン、天津、13年10月）審査員特別賞
金健東（キム・グォンドン、金浦、97年3月）優勝